インターネット家庭教師集団ヘルベテのブログ

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遊びをせんとや生まれけむ(1)

 

 ヘルベテ関係者のみなさん、お久しぶりです、またははじめまして。ヘルベテで英語を担当している高橋稜典(たかはしりょうすけ)と申します。この度、私自身のアジア旅行記を、こちらに連載することになりました。
旅立ったのは2018年7月、まず上海へ向かい、その後香港、再び中国、台湾、ベトナムカンボジア、タイ、インドを巡り、12月の終わりに帰国しました。

 このブログ連載では、自身の旅の記録を綴っていこうと思います。タイトルは「遊びをせんとや生まれけむ」。

第1回  

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大阪フェリーターミナルにて

 私は平成30年4月に群馬大学を卒業しました。その後アルバイトを

3ヶ月して旅費を貯め、この旅行に出かけたのでした。

 

 就職もせず、進学もせず、どうするつもりなのか、と人に尋ねられるたび、私は決まって「しばらく旅行に行って、遊んでくる」と答えていました。たいてい相手は怪訝そうな顔をして、それでもそれ以上深く聞いて来ようとはしませんでした。「遊んでくる」という言い方は、不都合な質問に対して相手を煙に巻く便利な言い方でした。
 この「遊んでくる」という言葉は、私のものではなくいわば借り物でした。卒業前の大学4年時、全く気乗りしない就職活動の最中、とある面接官から言われたのです。「あなた目が死んでるのよ」だから、「君はもっと遊んで楽しいものを見つけた方がいい」。
 職を求めて行った先で、遊んでこいと言われる。奇妙な気分でしたが、いやに納得させられたたことを覚えています。別の面接で、「最近楽しかった出来事はなんですか?」と問われ、答えに窮してしまったこともありました。その頃、確かにひどく悩んでもいたのです。就活もしたくなかった。さりとて、ほかに何もしたくなかった。それでも、何もしないでいるのは耐えられないような気がしていた。そんな背を焼くような焦りの中で、「遊ぶ」ということは自分の盲点を突かれたように思いました。
 楽しいことをして、遊んで来よう。しかし、何をしたら良いのか。どうせ働く当てもないから、時間も長いこと得られる。そこで思いついたのが、旅に出ることだったのです。一人で外国を好きなように見て回る、それは確かに「遊び」と呼ぶにふさわしいもののように私には思われました。なにより、諸外国を回って見聞を広めるという体で行けば、家族や周りの人々に対して、就職をしないことや、この先の見通しのないことの言い訳も立ち、自身のつまらないプライドも保たれるように思われたのです。

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大阪フェリーターミナル(2)

 


それゆえ、この「遊び」は、このようなわけで始まったのでした。

次回に続く…

 

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